矛盾に満ちた証言

明らかになる証言の矛盾

2008年2月に中国から韓国に送還された鄭明析牧師は、韓国国内で5名の女性から告訴されていた性的暴行の容疑で逮捕・起訴され、2009年2月、ソウル高等裁判所により懲役10年の判決を受けることとなった(2009年4月、大法院の上告棄却により確定)。この判決に対しては、さまざまな疑問が投げかけられていたが、最近になって、一部のマスコミの徹底した取材により判決の事実認定に矛盾する数々の事実が明らかにされた。

「異常なし」との診断結果

2006年4月3日に韓国人女性2名が中国・鞍山市で鄭明析牧師から性的暴行を受けたとして現地の公安当局に申告したのであるが、同年4月5日、中国・鞍山市中心病院が同女性2名のうちの1名(キムAさん)を診断した結果は、「検査の結果、精液なし。正常。強姦を受けた形跡なし。」というものだった。また、当時、中国の公安当局の通訳を務めた担当者も、法廷で「中国の病院の医者からキムAさんの処女膜に異常がないことを聞いた」と証言している。さらに、韓国に帰国したキムAさんに対して、同年4月8日、韓国警察病院が診断した結果もまた「処女膜に全く損傷がなく、いかなる形態であれ性的暴行の形跡を見出すことができない」というものだった。さらには、韓国の国立科学捜査研究所の精液検査結果も陰性反応だった。

ところが、同年4月10日、キムAさんは再び、韓国警察病院で診察を受けたところ、前々日とは異なり、小さな裂傷があると診断された。この裂傷はキムAさんが主張する深刻な裂傷ではなく、「自転車に乗っていても発生し得る傷」であったと、当時の診療担当医師は陳述している。この裂傷については犯罪捜査のための正式な警察病院の診察手続と異なるものであって、患部の写真撮影すら行なわれていなかった。

記者会見で主張する被害事実とは矛盾する防犯カメラの映像

告訴した韓国人女性2名は、2006年4月18日、記者会見で「ひどく性的暴行を受けて歩行が困難なほど深い傷を負い、下血をした」と発表していた。しかし、事件が起こったとされる現場近くに設置されていた防犯カメラが撮影していた映像を確認したところ、同女性2名が笑顔で、歩き方も不自由にはとても見えない姿で映っていたのである。(なお、後述するとおり、告訴した韓国人女性のうちの1名は「性的暴行はなかった」として証言を覆し、告訴を取り下げた。)

鄭明析牧師が中国から韓国に送還されたことが意味すること

2007年4月に中国の公安当局に婦女暴行容疑で逮捕された鄭明析牧師が2008年2月、中国で刑事裁判を受けることなく、韓国に送還されたこと自体、中国の公安当局は告訴された嫌疑はないと判断したと言えよう。日本人が中国で麻薬所持等の容疑で逮捕され、最終的に死刑に処された例を見れば分かるとおり、中国では内国人・外国人の区別なく、犯罪に対しては厳罰が加えられるものであるうえ、強姦罪には厳罰に処している。仮に鄭明析牧師が中国・鞍山市で婦女暴行を行なっていたとしたら、中国の公安当局が捜査の上、起訴し、中国の刑事訴訟法に基づいて中国の裁判所で審理され、中国の刑務所に収監されたに違いない。しかし、中国は鄭明析総裁の逮捕から10か月後には韓国に送還しているのであり、中国の公安当局は婦女暴行の事実を認定しなかったと言えよう。それにもかかわらず、同じ韓国人女性2名が韓国で告訴したところ、韓国の検察・警察当局の捜査権が及ばない地での話にもかかわらず、有罪と認定したのである。(なお、残念なことに、中国の公安当局による捜査資料は、犯罪立証に不利という理由で韓国検察から韓国の法廷に提出されないまま、韓国の裁判所は審理を終結したのである。)

→「迎合的な宗教裁判」